紫色のライオン その8

世の中は、ままならないものです。

はあーーー。

例え妖怪でも、逃げ出したくなる事はあります。

でも、そんな時は、好きな歌、歌ってみます。
声を出すと、ちょっぴりラクになりますね。


古いラテンの歌を、
大好きな歌手が歌っている動画を見つけました~。
良いですね~。

http://www.youtube.com/watch?v=XRqTACxa_sc&feature=related

さて、お話を続けましょう。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

満月の夜だった。

母ライオンは、
巣穴から二頭の子ライオンを連れ出した。

月の光に照らされて
白い毛玉の姿は
闇の中でひときわ浮き上がって見えた。

黄金色の毛玉は白い毛玉の横を
寄り添うように歩いていた。

水鳥の様子を窺って、
暫く水辺を歩いたが、
母ライオンはなかなか鳥を狙おうとはしなかった。

子ライオンたちが夜の沼を歩くのは初めてだった。
沼に落ちたら溺れる恐れがあった。

夜の沼は昼とは別の顔を見せる。


母ライオンは水辺を通り過ぎ、
木もまばらにしか生えていない平原に出た。
そして、草がまばらな所の地面を探るように進んだ。

やがて、土が盛り上がって固まっている場所を見つけると、
その周囲を用心深く嗅ぎまわった。

そして、土の一番柔らかい部分を見つけると、
素早く穴を掘り始めた。

突然、大型のネズミが地面から飛び出してきた。
それは、土の中のネズミの巣だった。

突然、巣を暴かれて、右往左往するネズミを
母ライオンは、次々と仕留め始めた。

子ライオンたちは、驚いて後ずさりしたが、
やがて、母に倣い始めた。




                 その日はとうとうやって来た。

                 スーツと制服に体を押し込めて
                 二人の息子は窮屈そうに
                 斎場の椅子に座っていた。

                 祖父を亡くしたのは悲しかった。
                 が、久しぶりに
                 従兄弟たちと会えたのは
                 嬉しかった。

                      
                     子供の笑顔っていいものね。


                 妻が横でぽつりと言った。

                 さすがにやつれた顔は隠せなかった。


                 しきりに関係を知りたがる弟に、
                 親戚一人一人の名前を図に書きながら
                 説明する母の姿を見て、
                 長男が言った。


                         母上、思ったより
                         落ち込んでないな。


                    今は気を張ってるからな。
                    終わってからが要注意だ。


                         ああ、落ちると
                         とことん行くからな。


                    へたに触るなよ。
                    なるべく、フツーにだ。


                  葬儀を境に
                  妻はめっきり口数が少なくなった。

                  カレーを作っている時に
                  突然、泣き出したりした。

                  玉葱が目に染みただけでは
                  なさそうだった。


                  とどめは、ある日のある電話だった。

                  妻は、父親を亡くした以上に、
                  辛いものを抱えてしまった。

                  その時の妻の涙は、
                  確実に今までと違っていた。

                  その日以来、実家の事は
                  一言も口にしなくなった。

                  そして、淡々と何かを進め始めた。


                  とうとう、その時が来た。

                  突然、二人の息子の前に立つと、
                  きっぱりと言い放った。


                      母さんの兄弟関係がどうなろうと、
                      お前たちと従兄弟たちには、
                      何の関係も無い。
                      だから、お前たちはお前たちで
                      付き合いなさいね。


                  私は、妻の断ち切り方に舌を巻いた。



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