セギディーリャスとセビジャーナス

さてさて、

上原さんのレクチャーコンサートに伺って以降、
約半月、セギとセビに格闘してきました。

基本的には、楽器伴奏と歌と踊りで構成され、
どちらも魅力的な三拍子です。

セギディーリャスはスペイン各地に分布し、
セビジャーナスは、セビリアで発展しました。
セビジャーナスについてはセビリアのワルツと
紹介されることもあります。

日本のスペイン舞踊およびフラメンコ教室では、
セビジャーナスは入門者が必ず踊る基本の曲になっています。

が、残念なことに、セギディーリャスはホタと同様にあまり踊られません。

もしかしたら、フォークダンス関係の方で、踊られる方が
いらっしゃるかもしれませんね。


セギディーリャスについての
貴重な学術的文献としましてはこちらを発見しました。

http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/bitstream/10297/4218/1/100121001.pdf


貴重な楽譜と歌詞も記載されています。


この文献に紹介されている楽譜と
このブログの二つ前の記事

    セギディーリャ迷走

で、ご紹介した、男性がギターを弾きながら歌っているものとを
比べると、ほぼ同じです。
イントロの小節数が若干違いますが、
この部分は、歌が入るその場のタイミングで変わるので、
必ずしも楽譜通りにはならない事のほうが多いです。

複数で踊ったり歌たりする場合は、
きちんと決めておかなければなりませんが。


ただ、この構成がすべてかというとそうではなさそうです。

二番目と三番目の動画では、文献で、”サリーダ”と解説されている、
一行分の歌がありません。

三回繰り返されるコプラの部分では、
繰り返しは二回までで、三回目は異なる旋律で歌われるものもあります。

また、歌(コプラ)の長さも違うものがあるようです。
楽譜に書いていないので断言はできませんが、
三番目の動画をみると、一回目の歌と二回目の歌には
明確な区切りがなく、流れるように繋がっていて、
一つの長い歌のようにも感じます。

民族音楽を楽譜に起こそうとすると必ず苦労するのが、
一小節目の第一音から歌が始まるとは限らないという点で、

歌い始めは、前の小節の、最後あるいは最後から二つ目、
しかも、半拍遅れの裏からという場合が多く、
また、終わり方も、最後の小節の一番目だったりします。

ですので、歌の小節数は、六拍(三拍×二)の倍数/三
といった感じで捉えておいた方がよいかもしれません。


さて、私が習い覚えたセビジャーナスの歌の中に、

   18世紀のセビジャーナス

として、広く知られているものがあります。

それを今回、拍数で表記してみました。


本当は楽譜で御紹介すれば分かり易いのですが、
今回はご容赦下さい。

あえてこの曲を取り上げたのは、
数ある古いセビジャーナスの中で、
18世紀として、年代がはっきりしているという事と、

文献および、前述の一番目の動画に酷似しているからです。



       
イントロ                  123 123 123 123 XX
(ギター他
 テンポとリズムを           (数回繰り返されることがあり
 歌い手と踊り手に伝える)       最後の休符の裏から歌い出す)


一行詩                  123 123 123 23 
                       (歌の最後の小節の一拍目から踊りだす)


間奏(ギター)
(上記の文献では”返し”の部分)  123 123


コプラ                   123 123 123 123

                       123 123 123 123
           
                       123 123 


間奏(ギター)               123 123


コプラ                    123 123 123 123

                        123 123 123 123

                        123 123


間奏(ギター)                123 123


コプラ                     123 123 123 123

                         123 123 123 123

                         123 1休休                                   
              

                         

数えてみるとわかる通り、小節数は、
文献上のセギと18世紀のセビは同じです。

違いは、文献のセギは、一行目およびコプラの歌いだしが二拍目の裏

      18世紀のセビは、その二拍前、前の小節の三拍目の裏

となり、セビジャーナスの方が、若干歌が長くなる事です。


セギの一番目の動画のギターと歌に合わせて、
セビジャーナスを踊ろうとして、ちょっと踊りにくいと
違和感を感じるのはその為です。


さらに、踊りについて解説を加えると、
一行目の歌の最後の小節の一拍目から踊りだしますので、
歌の始まりと、動きの始まりが一致しません。
慣れるまで戸惑うことが多いです。

でも、最後の小節の一音目でピタっと止まれた時は
本当に気持ちがよいし、見ていても大変美しいです。

振り付けの特徴としては、パソ・デ・セビジャーナスを多用します。

曲種名がパソの名前になっているというのも、凄いですね。

パソ・デ・ワルツの変形とも言えるもので、
通常、パソ・デ・ワルツは左右に動きますが、
パソ・デ・セビジャーナスは、前後に動きます。

この動きをみると、セギの踊りが、

        ワルツ風

になったものだと言う事を実感します。

セビジャーナスの踊りにつきましては、以前の記事にも
ご紹介しましたので、ここでは、パサーダという
二人で踊る場合の位置替えに当たる場所だけ
ご説明しておきます。

上記のセビジャーナスの赤い数字の部分がパサーダ(位置替え)、
青の部分が、パソ・デ・セビジャーナスになります。


現在では、特にソロで踊る場合はこの振り付けにはとらわれず、
自由に踊られることも多いです。
ブレリア風に踊ると、また別の雰囲気になって素晴らしいです。




また、これは、クラッシックギターや、
オペラのアリアとしての作品は除外して
頂きたいのですが、


セギディーリャの、曲の始まりと、曲の終りの特徴として、

    X X X
    1 2 3

という、はっきりとした、三拍が聴き取れます。

これは、前回のゴイエスカスの動画では聞き取りにくいのですが、
注意深く聞くと、ギターで、ジャンジャンジャンという、
同じ長さ、同じ強さの音を出しているのが分かります。

また、その後にご紹介した、サルスエラでは、冒頭で大きく
三つの音が聞こえます。

さらにその前の記事で、ご紹介した、カスティーリャのセギディーリャでは、
最後の三つの音で、踊り手が全員ぴたりと静止し、実に見事です。


一方で、セビジャーナスのギターの特徴的な出だしのリズムは
少し複雑になり、一例には以下のようなものがあります。

    XX  X X  XX XX X
    1  2 3  1  2  3


いずれにしても、セギとセビは、大変近い関係にありますが、

あえて言えば、セギは主にフォルクローレの分野で受け継がれ、
セビは、フラメンコの分野で発展しているというところでしょうか。          



では、最後に、セギとセビの違いを動画で見て感じてみましょう。


まずは、セビ

Sevillanas De Carlos Saura - Actuales




そして、セギ

Seguidillas de Leciñena,
Final de curso Escuela Baluarte Aragones



もう、これをみちゃうと、

理屈も何もいらないわ

って思っちゃいますよね~。








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